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HOME >  News & Events >  研究参加者の皆様へ 研究課題「精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有したヒトiPS細胞の 形態・機能解析(多施設共同研究)」へのご参加について

研究参加者の皆様へ 研究課題「精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有したヒトiPS細胞の 形態・機能解析(多施設共同研究)」へのご参加について


 このたび皆様には、私どもの研究「精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有したヒトiPS細胞の形態・機能解析(多施設共同研究)」にご参加いただきたく、お願い申し上げます。この研究は、皆様の細胞からiPS細胞(多能性幹細胞)を樹立して解析することを通じ、精神・神経疾患のメカニズムをより正確に理解することを目指すものです。
 統合失調症、双極性障害、自閉症を含む神経発達障害などの精神疾患は、遺伝的な要素に影響を受けている可能性があります。また、先天性疾患を有する方が幼少期・思春期以降に精神症状を合併しやすいことがあるとわかってきました。たとえば、レット症候群の患者さんでは、幼少期から自閉症状を来すことがあります。22q11.2欠失症候群(22q11DS)の患者さんでは、成人期には4-30%程度の方が精神病症状を来し、逆に統合失調症患者さんの1-2%は22q11.2の微小欠失を持つとされています。しかし、遺伝的な要素と実際に疾患が発症するかという因果関係は明らかになっていません。
 現在、ヒトiPS細胞を用いた研究は、培養という生体とは異なる環境で行われたものが多く、より生体に近い形での評価を行い、臨床現場に還元できるような中間表現型、および、薬理学的スクリーニングシステムの構築が求められています。私どもは、精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有したヒトiPS細胞について調べることで、精神疾患の病因病態解明および治療法確立の基盤にしていきたいと考えています。

1.この研究の概要

研究課題

精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有したヒトiPS細胞の形態・機能解析(多施設共同研究)

審査番号

G10143

研究機関名及び研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
 研究機関 東京大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学分野
 研究責任者 岡部繁男・本学神経細胞生物学分野 教授 研究の遂行・解析

共同研究機関

赤松和土・順天堂大学 教授 細胞の供与・解析
田宗秀隆・順天堂大学 准教授 細胞の供与
岡野栄之・慶應義塾大学 教授 細胞の供与
藤本美智子・大阪大学 助教 細胞の供与・解析
郷康広・自然科学研究機構 特任准教授 研究の遂行・解析
滝沢琢己・群馬大学 教授 研究の遂行・解析
中澤敬信・東京農業大学 教授 細胞の供与・解析

参加対象者

順天堂大学・慶應義塾大学・大阪大学において、病態解明のために検体および臨床情報を提供することに同意いただいた方

研究期間

 2018年4月26日(倫理審査委員会承認日)から2027年3月31日まで

研究目的

この研究は、精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有した方からヒトiPS細胞を樹立し、なるべく生体の環境に近い形での評価を行うことで、精神疾患の病因病態解明および治療法確立の基盤を作るためのものです。

研究方法

この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。各共同研究機関(順天堂大学・慶應義塾大学・理化学研究所・大阪大学)が研究主任施設となって個別に文書同意を得て細胞の樹立を行った細胞の供与を受けるため、患者さんに新たにご負担いただくことはありません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。各共同研究機関(順天堂大学・慶應義塾大学・大阪大学)が研究主任施設となって個別に文書同意を得て細胞の樹立を行った細胞の供与を受けるため、患者さんに新たにご負担いただくことはありません。

以下、具体的な手順をご説明します。精神・神経疾患にかかわる遺伝子変異を有した方から、血液あるいは体細胞を採取します。診療情報の一部(年齢・性別・既往歴・研究対象とする疾患の経過および検査データ)は匿名化した上で樹立元の研究機関内で保存されます。採取に伴う合併症への対応は各施設で行われる文書で個別に説明させていただきます。

皆様の細胞から樹立されたiPS 細胞、及び匿名化された診療情報の一部(年齢・性別・既往歴・研究対象とする疾患の経過および検査データ)、並びにその解析結果は、東京大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学分野を中心として、共同研究機関間で相互に共有され、研究に使用されます。

東京大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学分野には、各共同研究機関で樹立され匿名化されたiPS細胞が、適切な分化状態で直接手渡しで提供され、「遺伝子変異の有無、精神疾患および脳器質的疾患の有無、年齢・性別」以外の個人情報は伝達されません。共同研究機関間で、匿名化されたiPS細胞が冷凍輸送されることがあります。この際にも「遺伝子変異の有無、精神疾患および脳器質的疾患の有無、年齢・性別」以外の臨床情報は伝達されません。

共同研究機関(順天堂大学・慶應義塾大学・大阪大学)では、それぞれが研究主任施設となりiPS細胞の樹立が行われます。本研究における役割は、適した状態への分化誘導・維持法の確立です。
神経細胞生物学分野では、マウスを用いた細胞移植・分子生物学・生化学・電気生理学・細胞培養の手法を組み合わせた新たな中間表現型の同定を目指します。
その他の共同研究機関(自然科学研究機構・群馬大学・東京農業大学)では、神経細胞生物学分野で得られた細胞の解析を行います。

予定されている参加施設は本学を含めて7施設です。
本学では検体の採取は行いません(全施設で20例からの解析を目指します)。
対照群としては既に市販・供与されている株を用いる予定です。

 他の研究参加者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲で、研究参加者が研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧できます。

2.研究協力の任意性と撤回の自由

 この研究にご協力いただくかどうかは、研究参加者の皆様の自由意思に委ねられています。同意を撤回される場合は、各共同研究機関でお渡しした同意撤回書に署名し、各共同研究機関の責任者にご提出ください。なお、研究にご協力いただけない場合にも、皆様の不利益につながることはありません。ご本人(未成年者等の場合は、ご家族)の申し出があれば、可能な限り採取した試料・情報及び調べた結果を廃棄します。
ただし、同意を撤回されたとき、すでに研究結果が論文等に公表されていた場合等は、廃棄することができませんのでご了承ください。

3.個人情報の保護

 この研究に関わる成果は、他の関係する方々に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。本研究においては、既に各共同研究機関で匿名化された細胞を用います(個人情報は、各共同研究機関で、それぞれの共同研究機関先の倫理委員会で承認を受けた個人情報管理者が厳重に保管します)。個人情報を削って符号化した細胞や関連する情報・データは、研究代表者が神経細胞生物学分野において厳重に保管します。

4.研究結果の公表

 研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表します。

5.研究参加者にもたらされる利益及び不利益

 既に検体の採取は終了し、樹立された細胞を用いますので、研究参加者に新たな危険や不快は生じないと考えられます。個人情報の取り扱いは適切に行います。侵襲等による健康被害のリスクはなく、新規知見が得られれば将来的な利益につながるものと考えております。

6.遺伝子解析結果の開示

 本研究では、個別の患者さんの遺伝子解析を行わないため、開示も行いません。

7.研究終了後の試料・情報等の取扱方針

あなたからいただいた試料・情報等は、この研究のためにのみ使用します。
しかし、もしあなたが同意してくだされば、将来の研究のための貴重な資源として、研究終了後も引き続き保管します。符号により誰の試料・情報かが分からないようにした上で、神経細胞生物学分野において厳重に保管します。なお、将来、当該試料・情報等を新たな研究に用いる場合は、改めて東京大学医学部倫理委員会の承認を受けた上で用います。

8.あなたの費用負担

 今回の研究に必要な費用について、あなたに負担を求めることはありません。なお、あなたへの謝金もありません。

9.研究から生じる知的財産権の帰属

 遺伝子解析研究の結果として特許権などが生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者などに属し、皆様はこの特許権等を持ちません。また、その特許権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。

10.遺伝カウンセリング

本研究内では遺伝カウンセリングは行いません。病気のことや遺伝子解析研究について相談したいことがありましたら、各共同研究機関で説明を受けた担当者にご連絡ください。

11.その他

この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。なお、この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部神経細胞生物学分野岡部研究室の運営費・AMED-CREST 神経発達障害の病態解明を目指した革新的イメージングプラットフォーム、研究活動スタート支援 ヒトiPS細胞由来神経回路の動態可視化による22q11.2欠失症候群の病態解明 から支出されています。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。

この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局までご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。

ご意見、ご質問等がございましたら、お気軽に下記までお寄せください。

2018年5月1日(第1版)
2020年1月22日(第2版)
2022年3月16日(第3版)
2024年7月3日(第4版)

連絡先

【連絡先】
研究責任者:岡部繁男
連絡担当者:柏木有太郎
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科・医学部 神経細胞生物学分野
Tel: 03-5841-1929(内線21929)Fax: 03-5841-1930